日本大通りにある神奈川県庁本庁舎は、横浜三塔のひとつで通称「キングの塔」と呼ばれます。
現在の建物は、昭和3年(1928)に建築された4代目。
威厳ある風格を備えた建物で、どっしりとした存在感にあふれています。
散歩で通りがかったら、ちょうど内部見学日だったのでラッキーと思いのぞいてきました。
普段の日は、屋上の展望台なら見学できるそうですよ。
神奈川県本庁舎の場所と見学について
日本大通り側にある正面玄関から入ります。
すぐ近くの観光地は、象の鼻パーク、横浜開港資料館。
反対側にまわれば、横浜税関(クイーンの塔)、横浜開港記念館(ジャックの塔)があります。
こちらは神奈川県庁の本庁舎ですが、周辺には新庁舎、分庁舎、第二分庁舎もあります。
本庁舎の塔は、五重の塔をイメージして作られているんだそう。
スクラッチスタイルと独自の幾何学模様の装飾の外観で、アール・デコ様式の影響も感じさせます。
和洋混合の昭和初期に流行した「帝冠様式」の先駆けとなる建物です。
※アール・デコとは、ヨーロッパ及びアメリカを中心に、とくに1920年代に流行した装飾
最寄りの駅
・みなとみらい線「日本大通り駅」県庁口出口より目の前。
・JR・市営地下鉄「関内駅」から徒歩約10分。
見学できる場所と時間
- 平日(月~金曜日)8:30~17:15。
(休日、祝日、12/29~1/3は除く) - 見学可能場所は、本庁舎屋上展望台、本庁舎6階歴史展示室。
- 本庁舎内部(第三応接室、知事室、大会議場、正庁)は時々公開されます。
本庁舎内部の公開日は、決まれば神奈川県庁のHP(見学)で知ることができます。
※上記の情報も変更あるかも知れないので、公式HPでご確認ください。
神奈川県庁本庁舎の内部見学
今回はまったく知らなくて、たまたま通りがかったら「本日公開日」という看板を発見!
これはいいねー♪と見学してきちゃいました。
各見学場所には、ボランティアガイドさんがいて丁寧に説明してくださります。
宝相華(ほうそうげ)が見どころ!
正面入り口から入ったら、1Fの中央階段の装飾灯に注目!
装飾灯の模様は、宝相華があしらわれています。
なんと階段の手すりの格子の部分も宝相華!
ここだけかと思いきや、この先も目にすることになりました。
竣工当初は貴賓室で、天皇陛下の御座所としても使用。 ガイドさんから話を聞く前は、分けもわからず入室。 旧貴賓室にある、飾り戸棚、天井の球形シャンデリア、部屋にあるドア中央のひし形銅板部分など、いたるところに宝相華の文様が使われています。 戸棚の中には、宮川香山の幻のやきものといわれる眞葛焼(まくずやき)が置いてありました。 黒大理石の暖炉の上には、横浜開港当時の錦絵(ゴブラン織りの織物でできている)が飾ってあります。 実際の絵とは、建物の位置などが違っていたりするそう。 なんと知事室(知事執務室)が見学できました。 普段、県知事が仕事をしている場所を見れるなんてすごく貴重な体験! 奥の席には、知事のパネルが(笑)。 天井の装飾は創建時のもの。 部屋の見どころは、入口に置いてある知事執務室案内図に書かれています。 3階の真ん中は、旧議場になっていました。 公開日は、フェスティバルの日で賑やかな催しが繰り広げられていました。 落ち着いて見渡せば、赤いジュータン、折り上げ格天井、大きいシャンデリア。 こちらでは、数年前に結婚式も行われていたそうですよ(今後の実施は未定)。 正庁(せいちょう)とは、昔は三大節の拝賀式など儀式を行う部屋だったそう。 正庁の入口横の壁にも、宝相華をモチーフにした浮き彫り装飾タイル。 一度は改修して別の用途で使われていた部屋を、創建当時の姿に復元して公開。 天井のシャンディリアは、保管されていたのを修復して元の位置に戻しています。 創建当初は中央にある奉安殿(ほうあんでん)で、天皇・皇后の御真影を提示し参拝したのだとか。 戦前、天皇陛下が今よりも神聖化されていた頃の時代を感じます。 屋上の展望台に行く前に見学してきました。 写真下(右手)に見える階段は、塔屋の鉄骨階段(6階~9階)です。 展示室は小部屋でしたが、県庁本庁舎の建築について、歴代の県庁の写真、周辺の歴史建造物などを紹介しており、なかなか興味深いですよ。 屋上に出てきました。 塔の部分が、どアップで迫力の光景です。 塔の一番上のとこには、伊勢山皇大神宮の分霊が祀られているんだそう。 屋上からは塔を中心に、全ての方角をめぐることができます。 ぜひ一周してみて、それぞれの景色を楽しむといいですよ。 こちらはライト様式のテラコッタ。 竣工時に、県庁本庁舎の建物の軒先にあった実物です。 横浜三塔の1つジャックの塔(横浜開港記念館)も見えました。 いつも下からの眺めばかりなので、角度が変わるとすごく新鮮です。 屋上自体が展望がバツグンなんですが、さらにちょっとした展望台も設置されています。 左には、クイーンの塔(横浜税関)が見えます。 展望台からは、赤レンガ倉庫、象の鼻パーク、大さん橋、ベイブリッジなど一望できます。 どうせなら、豪華客船が寄港している日に眺めたかったなぁ。。。 県庁本庁舎の前には、過去に横浜税関があった場所であることを教えてくれる碑があります。 植え込みのとこにあるので、見逃しがち。 神奈川運上所跡(かながわうんじょうしょあと)碑の場所は、日本大通り側の角のとこ(県庁敷地内)。 ここからまっすぐ進むと県庁の正面玄関に着きます。 横浜税関(クイーンの塔)資料展示室も見学すればさらに知識が深まります。 偶然見学日に、神奈川県本庁舎の前を通ったのでとてもツイていました。
極楽浄土に咲く幻の花と言われる。
本庁舎のは、平等院鳳凰堂のものによく似ているとの説明書きがあります。
宝相華という一つのモチーフで、内部装飾を統一させている庁舎建築はめずらしいのだとか。第三応接室(3階)
当時とほとんど同じ状態なんだとか。
知らないとただのりっぱな応接室ですが、あちこちの装飾にこだわりが散りばめられているのを知ることができました。
※眞葛焼は、神奈川県立歴史博物館にもあります知事室(3階)
知事が使う執務机のとなりには、当時の書棚と時計があり、そこにも宝相華が施されているそうです。
残念ながら部屋の中には入れないので、ついたてがあり見えませんでした。大会議場(3階)
重厚感のある昭和っぽさと格式の高さを感じます。
県民ならすごい思い出になりますね。正庁(4階)
※三大節とは、旧制の三大祝祭日(元旦、紀元節、天長節)
改修工事の過程が分かるパネルがありましたが、ほとんどを復元させていました。歴史展示室(6階)
建物の骨組みの鉄骨部分もこうしたもので出来ているそう。
その後、神奈川県庁となる。
明治16年(1883)から、現在の場所へ移動し使用。
※横浜税関は、横浜港寄りに移転。
しかしわずか10年後に、関東大震災で被害を受け取り壊す。
建設にあたり設計案を一般公募のコンペ(設計競技)で決めています。
戦災を乗り越えた昭和初期の建物であることから、国の登録有形文化財になっています。
屋上の展望台はおすすめ!
場所は港の反対側にあり、横浜情報文化センター、横浜港郵便局の建物が見えるとこに置かれています。
*ライト様式とは?
近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト(アメリカ人建築家)による建築様式。
スクラッチ・タイルと大谷石を用いた幾何学的な装飾模様が特徴。
*ラテコッタとは?
イタリア語でラテは土、コッタは焼いたという意味。
粘土を焼いて作ったラテコッタの装飾で、重くて落下すると危険なため変更。
現在、建物の軒のとこは銅板で覆われています。
展望台の上で、記念撮影をしている方々もいました。
横浜三塔全ての塔の部分が間近に見えるのも、県庁本庁舎の屋上展望ならではの景観。横浜港の眺め
神奈川運上所跡
さらに進んで行けば、信号を渡ったとこに象の鼻パークの入口があります。
開港にともない、関税と外交事務を扱う神奈川運上所が今の神奈川県庁所在地に設けられていた。
※運上所とは、税金のこと
当時管轄していたのは神奈川奉行。
慶応2年 (1866)の大火で焼失し、翌年新築して横浜役所という名になる。
明治元年(1868)明治政府に移管され、明治5年(1872)横浜税関という名称に変更。まとめ
本来なかなか見れない場所なので、興味津々で巡り楽しかったです。
ボランティアさんからいろいろ話を伺いましたが、けっこう忘れてしまったので、また機会があったらいつか行ってこようと思いました。
でも屋上の展望が、1番の穴場スポットですね。
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