横浜三塔のひとつ「横浜市開港記念会館」は、別名ジャックの塔とも呼ばれます。
建物内にあるステンドグラスが見どころのひとつ。
歴史的建築物なので、観光として見ておきたいスポット。
無料なのもうれしい。
駅から近いので、アクセスもバツグンです。
一般公開日には講堂、会議室も合わせて見学できます。
横浜市開港記念会館のアクセス
最寄り駅は、みなとみらい線「日本大通り駅」1番出口。
出口を出れば、右方面に建物が見えます。
少し歩きますが、JR・市営地下鉄「関内駅」から行くことも可能。
関内駅から行く場合は、横浜スタジアムの脇にあるみなと大通り沿いを進めば到着。
※横浜スタジアムと旧横浜市役所の間の通りです。
*みなとみらい線「日本大通り駅」1番出口より徒歩1分
*JR京浜東北線「関内駅」南口から徒歩10分
*市営地下鉄「関内駅」1番出口から徒歩10分
ジャックの塔は本町通りとみなと大通りが交わる角地にあります。
上写真の赤い矢印に注目。
横浜市開港記念会館の入り口前から見た、日本大通り駅1番出口です。
出口後ろの建物はキングの塔「神奈川県庁本庁舎」。
駅出口から信号を渡るだけで到着。
開館時間・料金・休館日
【開館時間】
9:00~22:00(通常)
※しばらくは時短で21時まで。
館内の見学可能時間は10:00~16:00
訪問時は、当面15:00まででした。
通常見学と月一度の一般公開があります。
※通常見学は、2階のステンドグラス、資料コーナーなどが自由に見れます。
一般公開日でも、建物内全ては見れません。
見学できる場所はかぎられており、行けない場所はロープで区切られていました。
順路が書いてあります。
【料金】無料
【休館日】第4月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
見学場所の館内写真撮影は可能でした。
横浜市開港記念会館の歴史
建物は、国の重要文化財。
横浜開港50周年を記念して市民の寄付により建てられた、横浜の代表的な歴史建造物になります。
大阪市中央公会堂(旧大阪市公会堂)と並ぶ、大正期の二大公会堂のひとつ。
- 大正3年(1914)の9月に着工。
- 大正6年(1917)7月1日の開港記念日に開館。
当時の名称は開港記念横浜会館。 - 大正12年の関東大震災で一部焼失。
- 昭和2年(1927)初期の建築を復元した状態で再建。
- 昭和20年(1945)連合軍に接収。
昭和33年に市に返還。 - 昭和34年(1959)開港100周年。
横浜市開港記念会館と改称。 - 平成元年(1989)再建時省かれたドーム部復元。
同年国の重要文化財に指定される。 - 平成19年(2007)近代産業遺産に認定。
中区の公会堂として利用されているので、横浜市民にとって馴染みある建物です。
館内に上から撮影した写真がありました。
外壁は、赤レンガと白い花崗岩の辰野式フリークラシックスタイル。
※辰野式とは東京駅(大正3年竣工)を設計している建築家辰野金吾が得意としたもの。
時計塔とドームが特徴的です。
*東南隅に時計塔(高さ約36m)
*西南隅に八角ドーム
*西北隅に角ドーム
建物の外で知る歴史
まずは建物の外側。
横浜町会所跡の史跡がありました。
近くに説明文があります。
町会所跡
この地に、明治7年(1874)4月に竣工した石造2階建て屋上に高塔のある建物は、横浜市制施行の明治22年まで横浜の町政を執った町会所でした。
「時計台」の愛称で親しまれ、横浜の名所となっていました。
明治23年に「横浜貿易商組合会館」と改称、その後「横浜会館」と改める。
明治39年12月に類焼により焼失。
「横浜会館」再建計画。
跡地に、開港50年を記念して現在の建物が竣工しています。
さらに歴史を遡ると!
この地は、開港期より明治6年まで、岡倉天心の父が支配人をしていた石川屋(生糸売込店)があった場所。
明治期における近代日本美術の発展に大きな功績を残しています。
東京美術学校の設立に貢献。
ボストン美術館中国・日本美術部長にも就任。
石川屋が閉店後、跡地に町会所が建てられています。
つまり横浜が開港して、
石川屋→町会所→横浜市開港記念会館の順で歴史が流れています。
明治13年4月13日、横浜商法会議所として、この地本町1丁目5番地、横浜町会所内に設立されたと記載。
※横浜商法会議所は商工会議所の前身。
見どころを案内
見学して、自分なりに感じたおすすめを紹介します。
ステンドグラスは見ておきたい!
大きい見どころはステンドグラス。
ステンドグラスのある場所は2階に2ヵ所あります。
中央のステンドグラスは「鳳凰」。
横浜市の市章である「ハマ菱」がデザインされている。
※鳳凰2羽の上にあるのが市章。
左右は、開港当時の交通に関する様子を表現しています。
左側「呉越同舟」、右側「箱根越え」。
大正12年(1923)に関東大震災により焼失。
昭和2年(1927)にステンドグラスを復旧。
※左右は当初のものを尊重して復旧。
中央はデザインを変えています。
復旧するときに、宇野澤ステインド硝子工場が制作しています。
オリジナルの制作者は不明。
中央階段にあるステンドグラスは「黒船ポータハン号」。
1854年(嘉永7年)ペリーはこの船を旗艦として来航。
横浜村に上陸し、日米和親条約を締結。
こちらも焼失したのを再制作してます。
横浜に関する壁画が興味深い
2階のホールには、ステンドグラスの他に絵が展示。
まずは、2点の壁画に注目。
「開港前の横浜村」
「大正期の横浜港」
和田英作画伯によるもの。
※東京美術学校校長(教授当時の力作)
野毛山方面から望んだ横浜村の絵です。
開港前の横浜村の絵の近くに、開港後の横浜の通り名、地名など書かれた案内図が置かれてました。
説明が付くと、現在の横浜と重なりイメージしやすい。
今いる日本大通りは、絵ではあの位置なのねとか(笑)。
そんな横浜村に港が作られ、今では横浜市として大きな都市になるとは、感慨深いです。
大正期の横浜港の様子は、山手方面から描いたものだそう。
大正6年(1917)に壁画として制作されるも、関東大震災で焼失。
当時は壁画の他に天井画もあったそう。
昭和2年に現在の場所に油絵で再制作。
光の反射でいまいち分かりずらいと思うので、ぜひ実物を見に訪れてください。
船の絵もありました。
題目は「咸臨丸(かんりんまる)の威風」。
※海洋画家 飯塚羚児 (横浜生まれ)制作。
咸臨丸が日米修好通商条約の批准書交換のため、米艦ポータハン号の随伴艦としてアメリカに渡ったときの様子が描かれている。
作品は昭和35年(1960)の日米修好100年祭で東京駅に展示後、イタリア・トリノなど各地で展示され、昭和38年(1963)に横浜市の所有となる。
資料コーナーで歴史が分かる
中央ホールからステンドグラスを通り抜けた場所。
横浜市開港記念会館の歴史が分かります。
歴史写真や模型、ステンドグラスやドームの復元工事の様子など紹介。
大正から現在までの歴史を知るうえで貴重な内容でした。
エレベーターの壁面で見る耐震構造
エレベーター脇の壁面に注目。
碇聯鉄構法(ていれんてつこうほう)が見れます。
煉瓦を積んだ壁の中に鉄材を埋め込む。
明治時代における最高の耐震構造。
約1.8m間隔に径40mmの鋼鉄棒が入れてあります。
水平方向には各階ごとに幅100mmの帯鉄で連結。
エレベーター設置工事の際に壁面を切り取ったことで、内部構造が見れるようになりました。
貴賓室(特別室)もあります
来訪される賓客のための部屋。
ちょうど八角ドームに位置する場所にあります。
講堂と会議室
普段は使用されてたりするので、一般公開のときにしか見学できません。
なので、こちらも見どころですが、別枠として紹介。
講堂(1階)
横浜市開港記念会館の入口を入って、目の前の場所。
開館当時はベンチスタイルの座席で、約1,000人収容できたそうです。
現在は最大定員481名。
世界的に有名なアーティストの公演、著名な文化人が多数登壇するなど、多彩な催しが開かれています。
だいぶ昔ですが、こちらで開催された講演を聴きに訪れたことがあります。
ずいぶん歴史的内観だなと感じ、改めてキョロキョロ見てしまいました。
2階からも見学できます。
昔の写真も置かれてたので、見比べることができました。
若干の違いはあるものの、当時の面影を残しています。
会議室(1号室)
1階入り口脇にある会議室(1号室)も見学できました。
歴史ビデオが流れてました。
会議室は1階・2階を合わせて、全9部屋あります。
他の部屋は使用中なので、お静かにとの注意書きがありました。
カフェはないけど、自販機あります
建物内には、カフェできるお店はありません。
昔は2階に大・中・小の食堂があったそう。
自動販売機なら置いてありました。
1階と2階にそれぞれあります。
1階は貴賓室の下にあたるちょっとしたホール。
建物内にベンチはあるので、座って休むことはできます。
ジャックの塔から近い煉瓦遺構
横浜市開港記念会館のすぐ近くにある煉瓦遺構も紹介。
訪れたついでに、合わせて見るのもよさそう。
平成26年の建物解体時に発掘された遺構。
開通合名会社の社屋の一部であると考えられています。
建物は、関東大震災で大部分が倒壊。
一部が震災後の復興建築の内部に奇跡的に残されていました。
横浜関内地域の日本人商社建築の記録と関東大震災の記憶を現在に伝える貴重な歴史的遺産として保存されることになる。
所有者の意向により残してくださったそうで、貴重な歴史が見れて感謝!
昔の写真をしみじみ見て、こんな時代もあったのだと知ることができました。
まとめ
駅から近いので、ふらりと立ち寄れます。
横浜市開港記念会館のステンドグラスは見どころのひとつなので、ぜひ見ておきたい。
他に資料室も興味深い発見があるかも知れません。
歴史を感じる建物内を歩くのも、なんかいいねと感じました。
講堂、会議室なども合わせて見学したいなら、一般公開日に行くのが良いかと思います。
とくにこだわらなければ、普段の見学時間のときに時間もかからずにさらりと見れます。
施設の情報
- 名称:横浜開港記念会館(ジャックの塔)
- 住所:横浜市中区本町1-6
- 開館時間:9:00~22:00
※館内の見学可能時間は10:00~16:00 - 休館日:第4月曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
- 横浜市公式サイト(横浜市開港記念会館)
館内ガイドもあります。
いつかお願して、さらに知識を深めたいな~。